成蹊大学新聞会ブログ

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元へんの徒然コラム (第二回・火山です)

 

 元ヘンの徒然コラム。

 時事ネタや季節について細かいことは抜きで感じたこと思ったことをつぶやいていくかんじで。



・火山島は今日も噴火中。

 プレートの境界に近いから少し心配になるやーつ。

 

小笠原諸島の父島の西約130キロメートルにある西之島の沖合約500メートルで噴火が始まったのは昨年2013年の11月の下旬でありました。

 噴火口からは絶え間なく溶岩や焼けた岩石を吹上げ、新島を形成しました。火口から流れ出ていた溶岩流が1226日に西之島と合体しました。合体して以降は新島ではなく「西之島」の名称でメディアなどでは統一されているようです。

 

 

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西之島の位置(出典:Wikipedia

 

 これを書いている3月15日は、海上保安庁が噴火を確認してから3か月ちょっとです。この間に、島は確実に大きくなりました。噴火の初期は、「領海とEEZ排他的経済水域)が拡大する」とか「早く噴火が収まると海水に浸食されてすぐになくなってしまうかもしれない」などと、喜びと心配の声がありました。しかし、3か月を経てみると、そんな懸念は払しょくされ、島が残る期待が大きくて喜ばしい、、、ってどころか、島の記録から見ると大噴火になってますなーと思うわけです。

 

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西之島中期.jpg

 






(左)噴火し海上に出現した新島(噴火初期、1120日)、

(右)西之島と合体した「新島」

 

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「新島」の侵食が半端ない西之島。(2月28日)

写真出典:海上保安庁海洋情報部

http://www1.kaiho.mlit.go.jp/GIJUTSUKOKUSAI/kaiikiDB/kaiyo18-2.htm

※写真のコメは筆者。

 

・見えないところで起こること―

今回どんどん大きくなっている西之島ですが、前にも噴火しています。前回噴火をしたのは、1973年です。南東の海中の傾斜地で噴火があり、このときも新島が形成されました。しかし、波の浸食を受けて少しずつ削られていき、西之島の砂地を形成しました。’73年の噴火時に流出した溶岩は南東部分に少し残っています。

’73年以前は、島の南に水深107mの窪みがありました。これも「火口」です。といっても、「後」ですが。西之島はこの火口の縁に位置していました(下図)。海底地形図を参照すると、西之島を頂上になだらかに下っていくのが分かります。この斜面水深3000mまで続いています。その火山体の大きさは2030kmとされています。大きな火山ですね。ちなみに富士山は約40kmです。

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4図 西之島周辺の海底地形の比較

1973-74年噴火噴出物で、海底の火口地形の大部分は埋め立てられた。噴火前の1911年調査は小坂(1973)より、噴火後の1992年調査は5万分の1沿岸の海の基本図「西之島海上保安庁水路部,1993)より作成。

赤字は直径1.2km程度の山頂火口をしめす。1973-74年噴火地点はすべて山頂火口内の噴火である。

出典:産業技術研究所 地質調査総合センター

https://gbank.gsj.jp/volcano/Act_Vol/nishinoshima/fig/fig4.html

 

目測になりますが、1973年の噴火は火口の斜面から溶岩の噴出があって、堆積しやすい方向に堆積して約100mあった火口を40mくらいに埋めてしまったようです。(10mくらいで遠浅という解説もあります。)今回の噴火は60m下駄をはかせた状態で噴火をしたため、前回より海上に顔を出しやすい状態にあったわけです。(となると、先に記した島の歴史上、大噴火かというのは誇張になるでしょうか)しかも、毎年のように西ノ島の近海で変色が確認されていたので、小規模な噴火は海中で起きていたとも考えられます。その分下駄が高くなっていたかも。ま、よく噴火する、「THE 活火山」です。

と書きつつも、位置からして、海中の火口(約40m)は埋まって海上に堆積している状態なので、かなりの噴出量だと思います。見えないところでいろいろと起こっているようです。なぜなら、新島が頭を出す頃には40mを埋めていたことになるからです。(堆積のしかたによって変わりますが。水中なので、流出してすぐに固まって縦に積み上がっているかもしれません!

まだ、噴火活動は続いていますし、標高が66m(2月末時点)と言われているので、100mは堆積したという事ですかね。まだまだ、目が離せません!

でも、こわいです。太平洋プレートとフィリピン海プレートとの境界面で噴火が起きています。この噴火は何かシグナルを発しているのでしょうか?

 

・蛇足ですが…

噴火に関係ありなしかは定かではありませんが、地震は多いようで、ネットで調べると(言わずもがなウィキペディアですね)1973年を挟んで、72年に八丈島Mj7クラスの地震が2回。74年に伊豆半島沖と鳥島近海でMj7前後の地震がそれぞれ起きています。地震多かったのねーと思います。

 

 

Mj気象庁マグニチュード。日本で用いられる地震の規模を計算する方法の一つ。